【京都】美山荘 宿泊記 京都奥懐にある全3室の美食宿 食事編

前回の記事の続きです。



山里の野趣と都の風雅を併せ持つ「摘草料理」の名店

創業1895年。京都の奥座敷・花背(はなせ)に再興された峰定寺の宿坊として始まった【美山荘】
三代目の中東吉次氏の頃から「摘草料理」を標榜し、立原正秋や白洲正子など多くの文化人から愛されてきました。この由緒ある料理宿で堪能できるのは、山里の野趣と都の風雅を併せ持つ美しい料理。
四代目の久人氏自らも野山に入り集めた野草や山菜、茸はもちろん、鮎やアマゴなどの川魚や野鳥、猪、鹿、熊など野趣に溢れる自然の恵みが揃います。
京都市街から車で小一時間走らせた、豊かな自然のなか、四季折々の自然と数寄屋造りの名工・中村外二が手がけた建築に身を包まれながら、俗世を忘れるかのような特別な時間を、五感を使って堪能できます。

引用:一休.com



お楽しみの夕食です。
時間は18:30に一斉スタート。

みなさん、お部屋から続々と出てこられます。

この時気が付きましたが、お客様の年齢層は私たちよりも明らかに高く、
60~70代の方がメイン。

テレビもない、Wi-Fiも遅い、車で1時間半という不便さを乗り越えても余りある魅力は、
相当旅慣れた方にしか分からないといったところでしょうか。
恐れ入ります。
すみません、テレビっ子で。

みんなで譲り合いながら、この夕暮れの素晴らしい光景を写真に収めるわけですが、
出迎えにこられた女将さんたちが障子の向こうで、
黙って撮影会が終わるのを待ってらっしゃいました。

「もうよろしいですか?」

と声を掛けられたときは、いろいろ心得てらっしゃるんだなぁ。
と、思わず笑ってしまいましたけどね。

宿坊を感じさせる雰囲気の広間で食事をいただきます。
(撮影は翌朝)

セッティングは3種類から選べました。
っていうか、こんなの初めて聞かれました。

・テーブル
・茶室風
・座卓

文言は合ってないかもしれませんが、こんな感じです。

茶室風っていうのは、たぶん、お部屋には何も置いてなくて、
お膳が運ばれてくるタイプかな?

時代劇でお殿様とかがご飯食べるやつ。
違うかな。

私たちはテーブルを選んだわけですが、まずは丸盆が運ばれてきました。

御椀の中には、蛤とタラの芽。

これがうまいのなんのって、あーた。
ちょっと熱く語っていいですか?

餡は、蛤の出汁から作ったそうですが、
蛤そのものがおいしいので、当然おいしいわけですが、
甘味!

この甘味はどこから来ているんだろう。
蛤の甘味?
それとも水が良いの?

そして木の芽。

今まで食べた中で、一番香りが強い。

女将さんに伺えば、この辺りでは普通に生えているそうで、
季節にはそこらじゅう木の芽だらけになり、匂いで酔いそうになるとか。

京都の奥で自然に育った木の芽と大自然からの水。
蛤のおいしさだけでは、なかなかこの味に辿り着くのは難しいのではないでしょうか。

驚きの一品ですが、
この木の芽や、野草の香りを存分に楽しめることと、
お水がとてもおいしいこと。

これが「料理がおいしい」だけではない、美山荘の魅力なのですね。

だから「野草一味」とひざ掛けに書いてあるのか。
(3枚目写真参照)

すみません。
もうそんなに熱く語りませんよ。

こちらは、日本酒なのですが、
「まずは盃に一杯」と入れてくださった後、
「ご自由にお飲みください」と置いて行ってくれました。
なんだ、このサービス。

たぶん、1合くらい入っていたと思います。

次にいただくのは、鯉の洗いです。
鯉は山の水を使って、敷地内で飼育しているそうで、川の匂いは一切しません。
これを菜種油の一番搾りと塩でいただきます。
添えてあるのは、菜の花の山葵醤油漬けと、鯉の皮を揚げたもの。

右は白味噌のお椀で、お麩はヨモギです。

琵琶湖の鰻で、この竹ごと焼いてるそうです。
鰻はこれまで、おいしい鰻を求めて各地へ巡りましたが、
専門店に負けていない鰻でしたよ。

蕗の薹の白和え、こごみには胡桃の味噌。
ワラビの海苔巻きと、山葵とお醤油のジュレ。 
揚げた川海老。
ウルイの葉の中には、ウドと梅肉。
熊のローストには、ミカンのゼリーが巻いてあります。
とちもちのあられ揚げで、中身はこんにゃく。

野草料理の極みのような八寸です。

野草料理を堪能した後は、雄々しく猪が出てきました。

周辺の猪はアスリート型が多いらしく、
筋肉がとても締まっているとか。

蕗の薹の苦みも合わさり、脂までおいしい猪です。

お凌ぎは、蒸し寿司

写真ではお伝えしきれてないかもしれませんが、
器がいちいち美しいんですよ。

その美しいお椀の中は、ぐじ(甘鯛)です。
うすい豆のお椀で、胡麻豆腐も見えますね。

お部屋から見える上桂川で取れたアマゴです。
泳いでいる姿が、お部屋からも見ることができるそうですよ。

これはちょっとメモを取り忘れてしまいました。
すみません。

こちらも、メモを取り忘れ。
たしかサクラマスって言ってたかな…。

最後はアイスクリームですが、なんと裏山で採れた日本ミツバチの蜂蜜掛けだそうです。
裏山」で採れた「日本ミツバチ」の「蜂蜜」ですよ。

なんと貴重なものをいただけるのでしょう!

香りがすごく濃いのですが、それ以上に「野性味」が強いです。
うまくお伝えできないのですが、野性味が強いんです。(2回言っただけ)

これはなかなか他では食べられない。
ぜひ、召し上がっていただきたい。

夕食後、お部屋に戻るとキレイにお布団が敷かれていたのですが、
中にはなんと湯たんぽが入っていました。

私は湯たんぽ愛用者なので、すごく嬉しい。

テレビも観れないし、Wi-Fiも来ないので、
今日はこれを抱きしめて寝よう…。

熱っ!ヽ(◎Д◎)ノ

低温やけどというより、普通にやけどしそうな熱さです。
なにこの熱さ!

開けてみてみたら、なんと豆炭アンカ。

炭です。
炭が入っているんです。

真冬はマイナス10℃まで下がるそうなので、
これくらいパワーが必要だとか。

豆炭アンカは初めて使いましたが、
朝になっても威力は衰えることなく、私の布団を温め続けてくれました。

さぁ、ここからは朝食です。

朝食も一斉スタートです。
8:30だったかな?

「まずは梅湯をどうぞ」と女将さんが持ってきてくださった1杯のおいしいこと!

豆炭アンカのことは、この時教えてもらいました。

朝食ですが、内容はいたってシンプルです。
しかし素朴ながらもしっかり手を掛けて作られたのが伝わってくるお料理です。

左は、新じゃが、スナップエンドウ、高野豆腐の煮物。
右は、「きらずあえ」

きらずあえとは、卯の花和えのことですが、
おからを包丁で切らずに和えることからそう呼ぶそうです。

素材の一つ一つが上品で、滋味深く、
量も程よく、お腹いっぱいになれる朝食でした。

こういう感覚は、言葉や写真で伝えきれないような気がします。

コーヒーと黒糖菓子で終了です。

目次

まとめ

これが美山荘のお料理ですが、
絶賛される理由が、実際に訪問してよくわかりました。

高級食材と呼ばれるものもおいしいし、好きですけど、
日本古来から親しまれている食材を使った料理は、
なんとなくDNAに訴えかけてくるような気がします。

天然食材は灰汁も強いだろうし、
お客様にお出しするまで、手間暇かけるご苦労があるとは思いますが、
ぜひこれを続けて欲しいな。



「美山荘」と検索すると、併せて「女将さん」と検索候補が表示されるので、
お目にかかるのをひそかに楽しみにしていたのですが、
女将さんは、とても物腰が柔らかく、お話の仕方も上品な方でした。

ガサツで、サディスティックな私とは正反対。( ̄▽ ̄)

私の友人にも似たタイプがいるんですが、
彼女と話をしていると、自然と優しい気持ちになってニコニコしてしまうんですよね。

きっと同じ清浄な世界の住民なんだろうな。

美山荘に行かれた際は、ぜひ女将さんとの会話もお楽しみください。


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